19対応『りあクト!』第5版、販売開始のおしらせ
待望の React 19 対応、『りあクト! TypeScript で始めるつらくない React 開発』改訂第 5 版を本日、2025 年 5 月 30 日より販売開始します。すでに BOOTH で購入できるようになっていますので、お急ぎの方はそちらからどうぞ。
作業開始から 1 年半、ようやく書き上がりました
それにしても今回の改訂における産みの苦しみは相当でした。2024 年 1 月から作業を始めてほぼ 1 年半という、これまででもっとも長い執筆期間がかかったのですから。それというのも React 18 のリリースに合わせた前版の時期から React のエコシステムが激変しており、何を盛り込むべきか非常に悩みながら書いては直しを繰り返していたためです。これまでは React の変化が早いといっても、それはあくまでフロントエンドにおける SPA の枠の中の話でした。その前提が崩れたのが 2022 年〜2023 年ごろ。
ここ数年の Next.js の台頭には目を見張るものがあり、BuitWith による統計では世界の上位 100 万サイトにおける Next.js の使用率は今や 7%に達しようとしています。これは OSS の Web アプリケーションフレームワークの中ではトップ。Ruby on Rails や Laravel が 3%以下なのと比較しても、このシェアは圧倒的と言えるでしょう。 npm trends を見ても、現状で Web 用の React パッケージの 1/3 以上が Next.js から利用されていることが推測されます。
気づけばリニューアルされた React 公式サイトでも、環境構築のための第一選択肢としてフレームワークを推奨している。つまりこれは 2025 年現在、React の教本を出すのに Next.js のようなメタフレームワークの存在を抜きに語ることはできないということです。
さらに 2024 年 3 月には React 19 の Canary 版が提供開始。時期的にこれも盛り込まないわけにいかなくなりました。そしてその新機能の目玉である React Server Components(RSC)、この対応のためにエコシステムが今後がらっと様変わりすることが予想されます。現在はメジャーであっても今後数年先を見据えると RSC 非対応のものを使うわけにはいかず、UI コンポーネントライブラリやフォームライブラリも選定し直さなければなりません。
React 単体のみならずメタフレームワークの導入と使い方をカバーし、React 19 の新機能を紹介し、使用するライブラリも RSC に対応したものに入れ替え、一方でもう使う機会が減ってしまった機能の説明は削ったり簡略化する。すべてを盛り込むことはできないので適切に取捨選択をし、微妙なバランスを取りながら入門者が読んでも経験者が読んでも実のある内容にしなければならない。2025 年現在の状況で React の本を書くのはおそろしく難易度の高い作業です。改訂作業に 1 年半もかかったのは、そんな理由からでした。
第 5 版はどう違う?
前版ではモダン Web 開発の歴史を「第 1 世代:Ajax と DOM 操作のためのツールキット」「第 2 世代:SPA フレームワーク黎明期」「第 3 世代:SPA フレームワーク黄金時代」の 3 つに区切って説明し、React を第 3 世代のトップに君臨する存在として、React で SPA を構築するための説明がメインでした。
そこからパラダイムシフトが起きたとの認識のもと、第 5 版では「第 4 世代:メタフレームワーク主流の時代」を追加。それに至った背景や経緯を説明しつつ、React の代表的なメタフレームワークである Next.js と React Router(旧 Remix)を紹介しています。そして React の基本的なところは従来通り SPA を構築しながら学び、実装に差異が生じる機能についてはそれに加えて Next.js(App Router)と React Router(フレームワークモード)によるパターンを併記する形にしました。
これにより第 5 版は最新の React の状況を押さえながら、特定のメタフレームワークに偏らない学びを提供できる本になっています。フレームワークによって可能になったことを知ったうえで、さらに各フレームワークの特性を知ることで、読者自身がフレームワークを選定できるようになってもらうことも期待しています。
React 19 の新機能についても Server Components や Server Functions(≒ Server Actions)はもちろん、useActionState
、useFormStatus
、useOptimistic
、useTransition
、useDeferredValue
、use
、ドキュメントメタデータの巻き上げ、React Compiler とほぼほぼ網羅して紹介しています。それも「これが 19 の新機能です!」とまとめて紹介するのではなく、各章に必要となるシーンを設けて実用的なサンプルコードとともに説明しています。
また今回新しく採用したフレームワークやライブラリ、ツールは以下の通り。デファクトスタンダードと最新トレンドの間のバランスを適度に取った、ラディカルになりすぎないラインナップになってます。
- Next.js
- React Router
- Tailwind CSS
- shadcn/ui(UI ライブラリ)
- Conform(フォームライブラリ)
- Zod(スキーマバリデーションライブラリ)
- pnpm(Node.js パッケージマネージャ)
- mise(ランタイムバージョンマネージャ)
- Lefthook(Git Hooks マネージャ)
どこで買えるの?
先述のとおり BOOTH で販売中です。お問い合わせの多かった紙本+電子版セットですが、ただいま入荷作業中で注文いただければ紙本は 6 月の第 1 週には発送されるはずです。 価格は各部それぞれ電子版が 1,200 円、紙本+電子版セットが 1,550 円となっています。
また今回、技術書典 18 にオフライン/オンラインともに出展します。6 月 1 日に池袋・サンシャインシティの展示ホール D で開催されるオフライン会場では、紙本+電子版セットを出品します。ただし限定 50 部ずつなので、お求めの際はできるだけお早めに。
サークル配置番号は「き 17」。会場の中ほどです。
会場でのお支払い方法は、今回も Square 決済に対応します。IC チップ付きのクレジットカードおよび交通系 IC カードなどでご購入いただけます。手数料が 2.5%と安いので、ぜひ使っていただければと思います。(※ QR コード決済には非対応)
なお技術書典オンラインストアにも出品しますが、紙本+電子版セットは取り扱いません。通販で紙本+電子版セットをお求めの場合、BOOTH をご利用ください。また電子版についても提出した EPUB が規格に合わないと審査でリジェクトされてしまったため、技術書典オンラインストアでは PDF のみの販売となります。
(それなら技術書典はオフラインだけ参加すればいいじゃないかと思われるでしょうが、規則によりそれはできないのです)
ちなみに、これまで電子版しか読まないのに紙本+電子版セットを購入したうえで、新品の紙本をメルカリやヤフオクに出品する方が散見されましたが、そのような転売行為は作者が悲しむのでやめてくださいね。
つい最近、第 4 版を買っちゃったんだけど?
これについては「お気の毒さまです」では済まないと思いますので、救済措置を設けます。
2025 年 3 月 1 日〜5 月 31 日の間に第 4 版を BOOTH で購入された方については、対応する各部の第 5 版の PDF 版を進呈いたします。該当する方は BOOTH の購入履歴からメッセージを送っていただければ、受け取り方法を返信にてお教えします。
なお BOOTH 以外では購入情報の確認や購入者との直接の連絡ができないため、申し訳ありませんがこの措置は BOOTH で購入された方のみを対象とさせていただきます。また申請の期限は 2025 年 6 月 15 日を締め切りとさせていただきます。
まとめ
- 『りあクト! TypeScript で始めるつらくない React 開発』第 5 版が BOOTH にて販売中
- 紙本の最速入手は 6 月 1 日の技術書典 18 のオフライン会場。ただし各 50 部ずつの限定販売なのでお早めに
- 通販で紙本+電子版をお求めの場合は BOOTH にて。6 月 第 1 週から順次発送
- 技術書典オフライン会場でのキャッシュレス決済は Square 使ってね!
思えば第 4 版も React 18 リリースから半年弱で出していたのですが、今回の第 5 版も React 19 リリースからそれくらいで出すことができました。前版からおよそ 3 年ぶりの改訂となります。
かなり苦労して書いただけあって、これまでで最高の『りあクト!』に仕上がっていますので、できるだけ多くの人に読んでいただきたいです。また今回も「まえがき」はかなり力を入れて書いているので、ぜひ無料サンプルで「まえがき」だけでも読んでみてください。
読後のご感想はハッシュタグ #りあクト
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